修繕積立金を値上げ幅、当初の「1.8倍」を上限に - 【王子エリア周辺の不動産売却】センチュリー21あすみ

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田中ブログ

修繕積立金を値上げ幅、当初の「1.8倍」を上限に

こんにちは、 田中です。

不動産調査会社の東京カンテイによると、新築マンションを床面積70㎡に換算して集計した管理費が月20,358円になり、前年比4.1%上昇したと発表しました。 修繕積立金は、8,729円で前年比9.9%高です。

東京カンテイとは「不動産データバンク」であり、「不動産専門家集団」のことです。

特に、ここ数年のコスト高で、より一層上昇しています。新築マンションが 増えているという事は、 既存マンションも 値上がりしていくと言えます。

国土交通省は2024年2月、修繕積立金の徴収額を段階的に引き上げる場合の増額幅を最大約1.8倍とする方針を示しました。

修繕積立金の積立方式としては以下の2つがあります。

  • 計画期間中の積立額を均等とする「均等積立方式」
  • 計画期間開始当初の積立額を抑え、 期間中で段階的に増額していく「段階増額積立方式」

将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式と言われます。

国土交通省が行った調査によれば、段階増額積立方式のマンション249事例の長期修繕計画の計画当初から最終計画年までの値上げ幅の平均は約3.58倍で、上位1/6にあたる42事例の平均値上げ幅は約5.3倍だったとそうです。

3.58倍ということは、新築時の修繕積立金徴収額が7,000円だった場合、最終的には2万5,000円以上に増額するということです。5.3倍となると最終的な徴収額は3万7,000円を超えます。

値上げ幅が大きすぎると合意形成が取りにくくなり、合意にいたったとしても一部の世帯は支払いが困難になってしまうことが予想されることから、今回、国交省が提示した案は値上げ幅に上限を設けることで計画的な積み立てを促す狙いです。

修繕積立金徴収額の値上げを要する大きな要因となっているのは、新築時の設定額の低さと言われています。

国交省は、初期の設定額が低くなりすぎないよう、修繕積立金徴収額を均等で割った場合を基準額とし、その0.6倍以上を新築時の徴収額とすることを 求める案を示しました。仮に基準額を2万円/月とすると、新築時は1万2,000円/月以上の徴収額が 求められるということです。

「最大約1.8倍」というのは、新築時の徴収額を基準額の0.6倍とした場合であり、基準額からの値上げ幅は「1.1倍以内」に抑えることを求める案が示されました。基準額が2万円/月とすれば、最終的な徴収額は2万2,000円/月となります。

2018年の調査では、修繕積立金が計画に対して不足しているマンションは34.8%、また一方で計画に比べて余剰があるマンションもほぼ同数とのことです。

この明暗を分けている主なものは、実は、住んでいる方の意識と言われています。

積立金残高に余剰があるマンションは、早い段階で積立金の増額に着手し、管理組合の経済基盤を盤石なものにしている一方、計画に対して大幅に積立金が不足しているマンションも一定数存在しているのが現状です。

多くのマンションでは、段階的に修繕積立金の徴収額を上げていく「段階増額積立方式」を採用しています。しかし、値上げには議決を要するため、計画通りに増額できないマンションも散見されます。

現在、新築マンションを分譲する際の修繕積立金の最低額などは定められていません。マンションを購入される方は、取得費に加え管理費や修繕積立金の合算額を見て判断するため、新築時は修繕積立金の徴収額を低く設定しているケースが多く見られます。

近年は、あらゆる物の価格が高騰しています。マンションの修繕に不可欠な資材価格や工費、物流コスト、光熱費などの高騰も、修繕積立金不足の大きな要因となっています。

国交省が示した「1.8倍」という積立金の値上げ幅の上限は、あくまでガイドラインであり、前提条件として当初から正しい基準額を設定したうえで、その基準額の0.6倍以上の金額を徴収している場合に限られます。既存のマンションは、必ずしも今回の方針には当てはまりません。

特に、建物ではなく給排水管や消防設備など「設備」の修繕計画に妥当性が欠けているケースが多く見られます。材質にもよりますが、竣工後20年前後のマンションの場合、給排水管の耐用年数は概ね30~40年程度と言われます。ただし、防水施工などと比べて耐用年数が長いので実施例が少なく、設備関係の技術者も建築関係と比べると少ないため、修繕計画が甘くなってしまいがちなのです。

逆に、まだまだ使えるうちに更新してしまうと、修繕積立金の無駄遣いにもなってしまいかねません・・・

今回、国土交通省は修繕積立金の新築時の設定額や値上げ幅の上限などの案を示しましたが、これらに法的拘束力はありません。修繕積立金不足に悩むマンションを減らしていくには、まず新築時の徴収額に制限を設けることが必要だと考えます。

戸建所有者は、自身の判断で補修・修繕用に計画的に貯蓄する必要があると言われますが、マンション所有者も、管理費・修繕積立金の値上げに備え計画的に貯蓄することが必要だと言えそうですね。

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